競馬で記憶に残っているレースは多数あると思いますが、昔から競馬を観てきたファンには絶対に忘れられないレースです。
1983年 菊花賞
ミスターシービー
“ゆっくり上がって、ゆっくり下る”のがセオリーと言われる京都の坂。
しかし、吉永はこの上りでミスターシービーにゴーサインを出した。爆発の瞬間をじっと待っていたミスターシービーは、吉永の指示に即座に反応。
後方から先行各馬を次々と抜き去り、3コーナー過ぎには早くも先頭に並びかけた。「早すぎる!」多くのファンが叫び、大金星を狙うライバル馬の騎手たちは勝機を見出したとばかりに手綱に力を込める
。しかし、直線入口で先頭に立ったミスターシービーは、バテるどころか力強い伸び脚で逆に後続との差を広げ、そのまま2着ビンゴカンタに3馬身のリードを取ってゴールを駆け抜けた。
シンザン以来、19年振りとなる三冠の偉業。場内のファンのどよめきはしばらく収まらなかったが、それは三冠達成よりも、ミスターシービーの信じられないレース振りに驚き、酔ったファンの声だった。
三冠がかかる大舞台で、愛馬の力を信じ切った大胆なレース運びを見せた吉永と、それに見事こたえたミスターシービー。
1977年 有馬記念
テンポイント対トーショウボーイ
逃げ馬たちのうしろでレースを進めた2頭は、4コーナーで先頭に迫ると、直線であっさりと抜け出し、早めに先頭に並びかけたトウショウボーイがテンポイントを1馬身半差振り切って優勝した。
そして翌1977年、4歳になったTTはさらなる驚きの走りを見せる。
スタートでトウショウボーイが先頭に立つと、すかさずテンポイントが追いかける。
逃げ馬のスピリットスワプスだけでなくほかの馬たちも完全に無視され、TTは2頭だけで2500メートルを走り抜いた。
競馬史でもっとも熱いマッチレースはトウショウボーイのラストレースとなり、前年の雪辱をはたしたテンポイントの最後のゴールにもなってしまった。
2000年 マイルチャンピオンシップ
アグネスデジタル
確かにこのレースの前に、重賞3勝を挙げている馬だった。
古馬を相手にG1を勝つ3歳馬なのだから、その程度の実績があるのは当然だろう。
だがその勝った重賞レースから考えて、このアグネスデジタルがマイルチャンピオンシップを勝つシーンを想像できた人は少なかった。
1999年全日本2歳優駿
2000年名古屋優駿
2000年ユニコーンS
いずれもダートの重賞である。そのせいだろうか。
単勝オッズ55.7倍の13番人気という低評価に過ぎなかった。
直線で1番人気のダイタクリーヴァとスプリンターズSの覇者ダイタクヤマトが馬群から抜け出す。
この同じ勝負服2頭のワンツーというシーンをレース前から頭に思い描いていた人は多かっただろう。
だがその外からオレンジの帽子が飛んできた瞬間を多くの人は唖然とした表情で迎えるしかなかったのである。
1975年 オークス
テスコガビー
2冠をかけて挑んだ第36回オークス。
1番人気ながら、単勝オッズは2.3倍と桜花賞に比べたら大きく信頼を失うものであった。
ここでもハナを切ったのはテスコガビーであった。
桜花賞とは違いこのオークスではスローペースに落とした。
直線ではまた後続に大きな差を付けて8馬身差の圧勝であった。
これで牝馬2冠を達成した。